アニサキスとは
アニサキスは、サバやイカなどの魚介類に寄生する寄生虫の一種です。この寄生虫に感染した魚を十分に加熱・冷凍せずに食べてしまうと、胃や腸に入り込み、激しい腹痛や吐き気、嘔吐といった症状を引き起こします。主に食後数時間以内に強い胃の痛みが生じ、アレルギー反応による影響も報告されています。
なお、アニサキスは人間の体内では長く生きることができず、通常は1週間ほどで自然に死滅します。ただし、症状が強い場合には、胃カメラでアニサキスを取り除くことで、速やかに症状が治まることがほとんどです。
当院では、胃カメラによるアニサキスの除去処置に対応しております。魚介類を食べた後に急な胃痛が起こった場合は、速やかにご相談ください。
アニサキスを食べてしまった時は…
当院では胃カメラを用いたアニサキス除去を行っています
食後の胃痛や吐き気がアニサキスによるものと疑われる際には、速やかな対応が必要です。当院では、胃カメラを用いた診断と治療を行っており、検査中にアニサキスを発見した場合は、その場で除去することが可能です。全て取り除くことで、多くのケースで症状は早期に軽減します。
胃カメラでの除去が難しい場合は薬物療法を行います
アニサキスが胃内に確認された場合、胃カメラを使って直接取り除く処置を行います。
ただし、内視鏡での除去が難しい場合は、痛み止めなどを用いた薬物療法によって経過を確認します。アニサキスは人間の体内に長期間寄生することはなく、1週間ほどで自然に死滅します。
アニサキスの症状
アニサキスが体内に入ると、主に胃の粘膜へ侵入し「胃アニサキス症」を引き起こします。稀に腸に移動して「腸アニサキス症」となるケースもあります。また、アニサキスに対するアレルギーを持っている場合は、蕁麻疹などのアレルギー反応を示すことがあります。
胃アニサキス症
最も多く見られるのが胃アニサキス症です。寄生虫が胃壁に侵入し、アレルギー反応を引き起こすことで、強い胃痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れます。発症のタイミングは、アニサキスが寄生した魚介類を摂取してから3〜4時間以内が多いとされています。
なお、同じものを食べても症状が出ない方もおり、食事を共にした方が無症状であっても、アニサキス症を疑う必要があります。当院では胃カメラによる除去処置を行っておりますので、お早めにご相談ください。
腸アニサキス症
アニサキスが腸に入り込んで発症するのが腸アニサキス症です。摂取後、10時間以上経過してから下腹部の鋭い痛み、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が現れることが多く、発症までに数日かかるケースもあります。
このタイプは発生頻度としては低いものの、腸閉塞や腸穿孔といった重篤な合併症を引き起こすリスクがあり、その場合には入院治療が必要となります。
アニサキスアレルギー
アニサキスに対するアレルギーがある方は、たとえ加熱処理や冷凍でアニサキスが死滅していても、アレルゲンとして反応を起こすことがあります。蕁麻疹のほか、かゆみ、皮膚や粘膜の腫れなどが代表的な症状です。
アニサキスが寄生しやすい魚介類
アニサキスは多くの海産魚類に寄生しており、特に以下のような魚に見られることが多いです。
- サケ
- サバ
- サンマ
- イワシ
- ホッケ
- イカ・ホタルイカ など
本来、アニサキスは魚の内臓に寄生していますので、内臓を生のまま食べることは極力避けるようにしましょう。
アニサキス症を防ぐために
アニサキス症は、アニサキスが生きた状態で体内に入ることで発症します。そのため、加熱が不十分な魚や刺身などの生食には注意が必要です。特に魚の内臓に近い部位や、締めた後すぐに内臓を処理しなかった場合はリスクが高まります。
アニサキスの大きさは15mmほどで、透明感のある白い糸状の形をしており、目視で確認できることもありますが、筋肉の中に深く入り込んでいる場合は、見落とす恐れもあります。
確実に死滅させるには、中心部まで60度以上で1分間以上加熱する、あるいはマイナス20度以下で24時間以上冷凍することが有効です。
一方で、酢や塩を使った「締める」処理ではアニサキスは死にません。例えばシメサバのような調理法でも、十分な加熱・冷凍処理を行わない限り、安全とは言えないため注意が必要です。