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開業医に技術は必要か?──鎮静剤と内視鏡の現場から考える

*この記事はいつもとはテイストが異なります。普段のテイストがお好きな方はそっと、ページをお戻りください。

先日、国立国際医療研究センター国府台病院時代の先輩で開業されている先生のもとを訪ねました。話題の中心は、「開業医に技術は必要なのか?」という問いでした。

鎮静剤で「楽だった」と言われる現実

内視鏡検査では、鎮静剤を使えば患者さんは「楽だった」と言ってくれることが多い。だからこそ、こうした声を聞くと、勤務医時代に積み重ねてきた技術は意味があるのか?という葛藤が生まれます。

確かに、鎮静剤を使えば、そこまで修練を積んでいない医師でも「辛くなかった」と評価されることがあります。では、私たちが培ってきた技術は無駄なのでしょうか?

技術は決して無駄ではない──その理由

私は、技術は決して無駄ではないと考えます。その理由は二つあります。

1. 鎮静剤を使っても痛みを感じる患者がいる

敏感な方には、鎮静剤だけでは不十分です。その時こそ、医師の技術が患者さんを救います。私が健診センターで「今までで一番楽だった」と言われたのは、鎮静剤の量が前年と同じでも、技術で差を出せた証拠です。

2. 診断・治療の精度

検査は単なる「楽さ」だけではありません。

• ポリープを見逃さない

• 正確に診断する

• 負担なく的確に切除する

これらは、内視鏡の修練を積んだ医師だからこそできることです。私は地域の中核病院で上下部内視鏡診断・治療を経験し、さらにはESDという高度治療も修練しました。ESDは内視鏡治療の最高峰であり、その前段階であるポリープ切除の修練については言うまでもありません。

患者に伝える難しさと、未来への願い

こうした努力は、患者さんに直接伝わりにくいのが現実です。信頼できる先生を見つけた患者さんに「自分は技術がある」と言うのも難しい。

それでも、私は信じています。技術を磨いた医師が報われる医療業界であってほしいと。

そして、開業医として歩み始める中で、その想いを胸に、患者さんに最善を尽くしていきたいと思います。

このブログ記事は、尊敬するA先生に敬意を表して記します。