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医療コラム

ピロリ菌は除菌しなくていい、という説もあるけれど…除菌を推奨したい理由

「ピロリ菌は除菌しなくていい」という説を耳にして、どうすべきか迷っていませんか?健診で陽性を指摘されても自覚症状がないと、つい後回しにしてしまいがちです。しかし、その判断が、あなたの胃の未来を大きく左右するかもしれません。

実は、かつて「国民病」とまで呼ばれた日本の胃がん罹患率は、近年明らかに減少傾向にあります。この大きな変化の背景にあるのが、2013年の保険適用拡大によって大きく普及した「ピロリ菌の除菌治療」という、動かしがたい事実です。

この記事では、除菌にまつわる様々な疑問や不安に専門的な見地からお答えします。胃がんという深刻な病を予防できる確かなメリットを理解し、ご自身の健康を守るための正しい一歩を踏み出しましょう。

胃がん減少の背景にあるピロリ菌除菌の広がり

「ピロリ菌は除菌しなくていい」という声も耳にしますが、本当にそうでしょうか。

実は、かつて「国民病」とまで言われた日本人の胃がんは、近年明らかに減少傾向にあります。この大きな変化の背景にあるのが、ピロリ菌除菌治療の広がりです。

ご自身の胃の未来を守るために、まずは正確な情報を知ることから始めましょう。

胃がん減少の背景にあるピロリ菌除菌の広がり
胃がん減少の背景にあるピロリ菌除菌の広がり

保険適用拡大がもたらした胃がん予防効果

胃がんが減少している最大の理由は、ピロリ菌除菌が「治療」から「予防」へと進化したことにあります。

その大きな転換点となったのが、2013年の保険適用拡大です。

それまでは胃潰瘍や十二指腸潰瘍など、すでにはっきりとした病気がなければ、ピロリ菌除菌は保険で受けられませんでした。

しかし、この変更によって「ピロリ菌による慢性胃炎」の段階で保険を使って除菌できるようになったのです。

これは、がんという“火事”が起きてから消火するのではなく、その原因となる“火種”の段階で消せるようになったことを意味します。

ピロリ菌の除菌が胃がんのリスクを著しく下げることは、もはや疑いのない事実です。日本の胃がん罹患率の低下は、この除菌治療の普及が大きく貢献した結果にほかなりません。

健診で陽性を指摘されたら、それは除菌の好機です

健診や人間ドックで「ピロリ菌陽性」と告げられ、自覚症状もないのに…と戸惑いを隠せない方もいらっしゃるでしょう。

「何も症状がないのだから、放っておいても大丈夫なのでは?」 そう考えるお気持ちもよくわかります。

しかし、症状の有無とリスクの大きさは全く関係ありません。

症状がなくても、ピロリ菌がいる胃の粘膜は、絶えず攻撃を受け続けて慢性的な炎症(慢性胃炎)を起こしています。この静かな炎症こそが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、そして何より胃がんへとつながる道筋なのです。

ですから、健診で陽性を指摘されたことは、決して悪い知らせではありません。

むしろ、将来の深刻な病気からご自身の身を守るための、またとない「好機」と捉えるべきです。

曙橋、若松河田、牛込柳町エリアにお住まい、お勤めの方で、健診結果を手にどうすべきか迷われているなら、ぜひ一度当院へご相談ください。

除菌にまつわる専門的な議論に対する当院の見解

ピロリ菌について調べると、「除菌しない方がいい」という意見を目にすることがあり、戸惑われる方も少なくないでしょう。専門家の間でも様々な議論があるのは事実です。

しかし、私たちは患者さんの未来の健康を第一に考えたとき、ピロリ菌の除菌をためらうべきではないと結論づけています。

なぜなら、いくつかの懸念点を考慮したとしても、胃がんという深刻な病気を予防できるメリットは、それをはるかに上回ると確信しているからです。

ここでは、インターネットなどで見かけるいくつかの意見について、当院の専門的な見解を一つひとつご説明します。

「除菌で逆流性食道炎になる」は本当か?

「ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎になる」という情報を目にし、不安に思われるかもしれません。

これは、ピロリ菌によって長年抑えられてきた胃酸の分泌が、除菌によって「正常化」することに起因します。

ピロリ菌は胃の粘膜を攻撃して慢性的な炎症(萎縮性胃炎)を引き起こし、胃酸を分泌する機能を低下させます。除菌によってピロリ菌がいなくなると、このブレーキが外れ、胃は本来の元気な状態を取り戻し、しっかりと胃酸を分泌できるようになるのです。

この変化は、胃が健康に近づいている証拠ともいえます。

ただ、もともと胃酸が食道へ逆流しやすい体質の方の場合、胃酸分泌が活発になることで胸やけなどの症状を感じることがあります。

しかし、これは新たな病気になったわけではありません。もし症状が現れても、胃酸の分泌を適切にコントロールするお薬で十分に対応できますので、ご安心ください。

「早期胃がんが見つけにくくなる」という意見について

これも、除菌をためらう理由として時折耳にする意見です。

確かに、除菌に成功すると胃粘膜の炎症が劇的に改善するため、一見するとがんの凹凸や色調の変化が分かりにくくなるケースは存在します。

しかし、これは「見つけられない」ということではありません。

むしろ、激しい炎症という“ノイズ”が消えることで、がん特有の微細なサイン(血管の走行異常やわずかな色調の違いなど)が、かえって浮かび上がってくることも少なくないのです。

当院では、経験豊富な内視鏡専門医・指導医が、微小な病変の発見をサポートする最新のAI診断支援機能を搭載した内視鏡システムを用いています。熟練の医師の目と先進技術を組み合わせることで、除菌後のきれいになった胃粘膜に潜む早期がんのサインも見逃しません。

何よりご理解いただきたいのは、除菌に成功しても胃がんのリスクがゼロにはならないという事実です。

リスクを減らすために除菌し、残ったリスクを管理するために定期的な胃カメラ検査を受ける。この両輪が、あなたの胃の健康を守る鍵となります。

様々な意見を踏まえても、除菌のメリットが上回る理由

逆流性食道炎やがんの発見しやすさなど、いくつかの専門的な議論があるのは事実です。 しかし、それらをすべて天秤にかけても、ピロリ菌を除菌するメリットはデメリットをはるかに上回ると、私たちは断言できます。

その最大の理由は、何といっても**「胃がんの発症リスクを大幅に低減できる」**という、動かしがたい医学的根拠があるからです。

事実として、ピロリ菌による慢性胃炎に対して除菌治療の保険適用が拡大されて以降、日本の胃がん罹患率は明らかに減少傾向をたどっています。これは、除菌がいかに胃がん予防に貢献しているかを物語る、何よりの証拠です。

ピロリ菌除菌がもたらす主なメリットを整理してみましょう。

  • 胃がんになる確率を大きく引き下げる
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍のつらい再発を食い止める
  • 胃もたれや痛みといった慢性的な胃の不調が和らぐ

たとえいくつかの懸念点があったとしても、将来の深刻な病気を高い確率で防げるという確かな利益は、計り知れない価値があります。

あなたご自身と、あなたを大切に思うご家族の未来のために。私たちは、ピロリ菌の除菌治療という選択肢を強く推奨します。

当院が提供する、納得できるピロリ菌除菌治療

ピロリ菌除菌については、さまざまな情報があり、治療を受けるべきか迷われている方もいらっしゃるかもしれません。

私たちは、胃がん予防という計り知れないメリットを考えたとき、ピロリ菌の除菌治療をためらうべきではないと確信しています。

しかし、ただ治療をお勧めするだけでは意味がありません。

大切なのは、あなたご自身が胃の現状を正しく理解し、心の底から「治療を受けよう」と納得して、前向きな一歩を踏み出すことです。そのための丁寧な説明とサポートこそ、私たちの最も重要な役割だと考えています。

当院が提供する、納得できるピロリ菌除菌治療
当院が提供する、納得できるピロリ菌除菌治療

検査結果と胃の状態を丁寧にご説明します

ピロリ菌の検査には息や便で行う方法もありますが、最も大切なのは「ピロリ菌がいるか、いないか」だけで終わらせないことです。

本当に知るべきなのは、「ピロリ菌のせいで、あなたの胃が今どのような状態にあるか」という事実です。

当院では、内視鏡専門医・指導医が胃カメラ検査を行い、モニターに映る胃の粘膜を一緒にご覧いただきながら、現在の状況をご説明します。

  • 炎症はどの範囲に広がっているか
  • 粘膜の萎縮(老化)はどの程度進んでいるか
  • 将来のがんリスクはどのくらいと考えられるか

胃の中を直接観察することで、これらの情報を具体的にお伝えできます。ご自身の目で見て、説明を聞くことで、なぜ今除菌が必要なのかを深くご理解いただけると信じています。

もちろん、当院の胃カメラ検査は、鎮静剤を使って眠っている間にリラックスして受けていただくことが可能です。最新のAI診断支援機能も活用し、専門医の目とテクノロジーを掛け合わせることで、微細な変化も見逃さないよう努めています。

疑問や不安な点は、その場で何でもお尋ねください。

副作用への不安に寄り添うサポート体制

多くの方が心配されるのが、除菌薬による副作用ではないでしょうか。

主に、下痢や軟便、味覚の違和感、お腹の張りなどが挙げられますが、そのほとんどは軽い症状で、1週間の服用が終われば自然と落ち着いていきます。

これは、除菌薬が腸内の細菌バランスに一時的な影響を与えるために起こるものです。

当院では、こうした症状を少しでも和らげるために、必要に応じて整腸剤を一緒に処方するなどの工夫をしています。

万が一、症状がつらくて生活に支障が出るような場合は、ご自身の判断でお薬をやめてしまわず、すぐにご連絡ください。お電話などで状況を詳しくお伺いし、適切に対応しますのでご安心ください。

万が一の二次除菌までも責任をもって対応します。三次除菌も保険外になりますが対応可能。

1週間の内服で行う一次除菌の成功率は90%前後です。裏を返せば、10人に1人くらいは、お薬に抵抗力を持つ「耐性菌」などの理由で、一度では除菌しきれないことがあります。

ですから、「お薬を飲みきったから終わり」ではありません。

服用終了から1ヶ月以上あけて、きちんと除菌できたかどうかを判定検査で確認することが非常に重要です。

もし一度で除菌できなかった場合は、お薬の種類を変えて「二次除菌」に臨みます。ここまでは保険適用で治療が可能です。

さらに、二次除菌でも成功しなかった稀なケースに対しても、保険適用外とはなりますが「三次除菌」のご相談も承っています。

一度でうまくいかなくても、私たちは諦めません。最後まで責任をもってサポートしますので、過去に除菌治療が成功しなかったという方も、ぜひ一度ご相談ください。

ピロリ菌除菌治療の実際

健診でピロリ菌陽性を指摘された際、「どんな治療をするんだろう」「つらくないかな」とご不安になるのは当然です。

ご安心ください。ピロリ菌の除菌治療は、決して大がかりなものではありません。 基本的には、たった1週間、毎日お薬を飲むだけで完了するシンプルな治療です。

ここでは、具体的な治療の流れと費用について、一つひとつ丁寧にご説明します。

1週間の内服で完了する治療スケジュール

ピロリ菌の除菌治療では、性質の異なる3種類のお薬を1セットとして、1日2回・7日間服用します。

  • 胃酸の分泌を抑えるお薬 胃の中は強い酸性のため、そのままでは抗生物質の効果が弱まってしまいます。このお薬で胃酸の分泌をしっかりと抑え、抗生物質がピロリ菌に最大限の力を発揮できる環境を整える、いわば「サポーター」の役割を果たします。

  • 抗生物質(2種類) 治療の主役となるお薬です。性質の異なる2種類の抗生物質を組み合わせることで、ピロリ菌を多角的に攻撃し、除菌の成功率をぐっと高めます。

この3種類のお薬を、朝・夕の食後に7日間、忘れずに飲み切ることが何よりも大切です。

そして、お薬を飲み終えたらそれで終わりではありません。 服用終了から1ヶ月以上あけて、除菌が本当に成功したかどうかを確かめる「判定検査」を行います。この検査は息をふきかけるだけの簡単な検査(尿素呼気試験)などで確認できます。

保険適用で受けられる条件と費用

ピロリ菌の除菌治療は、健康保険を使って受けることができます。

ただし、そのためには一つだけ大切な条件があります。それは、事前に胃カメラ検査を受け、「ピロリ菌が原因の慢性胃炎」という診断がついていることです。

「なぜ健診の血液検査だけではダメなの?」と疑問に思われるかもしれません。 これには、制度上の理由と、医療上の重要な理由があります。

保険診療では、「ピロリ菌がいる」という事実だけでなく、「ピロリ菌によって胃炎という病気が起きている」ことが確認されて、はじめて治療の対象となるルールだからです。

そして何より、あなたの胃の「今」の状態を正確に知るために、胃カメラは不可欠です。胃の中を直接観察することで、将来の胃がんリスクを予測し、あなたに合った健康管理計画を立てるための貴重な情報を得ることができます。

【費用の目安(3割負担の場合)】

項目 費用
一次除菌治療の総額
(診察・お薬7日分・判定検査)
約7,000円~9,000円

※上記はあくまで目安です。

将来の胃がんリスクを大幅に減らせることを考えれば、その価値は非常に大きいと言えるでしょう。

当院では、鎮静剤を使って眠っている間にリラックスして受けられる胃カメラ検査を行っています。曙橋、若松河田、牛込柳町エリアにお住まい・お勤めで、検査をためらわれている方も、ぜひ一度ご相談ください。

曙橋・若松河田エリアで胃の健康を守るために

ピロリ菌に関する情報はインターネット上にあふれており、中には正反対の意見もあって、除菌すべきか迷いや不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

私たちは、胃の健康が毎日の食事をおいしく楽しみ、心豊かな生活を送るための土台だと考えています。その大切な土台を守る最初の一歩が、ご自身の胃の現状を正しく知ることです。

曙橋・若松河田・牛込柳町エリアの皆さまの「かかりつけ医」として、お一人おひとりの不安に丁寧に耳を傾け、納得して治療に臨めるよう、誠心誠意サポートさせていただきます。

曙橋・若松河田エリアで胃の健康を守るために
曙橋・若松河田エリアで胃の健康を守るために

家族に胃がん歴がある方は特にご相談ください

ご両親や祖父母など、ご家族に胃がんになった方がいらっしゃる場合、ピロリ菌の検査と除菌をためらうべきではありません。

なぜなら、胃がんの発生には、ピロリ菌感染という環境要因が大きく関わっているからです。

ピロリ菌は、主に衛生環境がまだ十分に整っていなかった時代の幼少期に、家族内(親子間など)で感染することが多い菌です。そのため、ご家族に胃がん歴があるということは、ご自身もピロリ菌に感染している可能性が、そうでない方より高いと考えられます。

実際に、ピロリ菌除菌治療の保険適用が拡大されて以降、日本の胃がん罹患率は明らかに減少傾向にあります。これは、除菌がいかに胃がん予防に貢献しているかを物語る、何よりの証拠です。

大切なご家族のため、そして何よりご自身の未来の健康のために、一度ピロリ菌の検査をご検討ください。

当院へのアクセスとオンライン予約

当院は、曙橋・若松河田・牛込柳町エリアにお住まいの方、お勤めの方が、お仕事や生活の合間に気軽に立ち寄れるクリニックです。

【アクセス】

  • 都営新宿線「曙橋駅」A1出口より徒歩1分
  • 東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」より徒歩7分
  • 都営大江戸線「若松河田駅」「牛込柳町駅」からも徒歩やバスでご来院いただけます。

新宿・四谷・市ヶ谷といったターミナル駅からすぐの立地でありながら、都心の喧騒から少し離れた落ち着いた環境で、リラックスしてご相談いただけます。

お忙しい方のために土曜日の診療も行っており、ピロリ菌の検査から除菌治療、そして治療後の大切な経過観察まで、消化器内視鏡の専門医・指導医が一貫して責任をもって担当いたします。

ご予約は、お電話のほか、24時間いつでもスマートフォンやパソコンから簡単に行えるWEB予約をご利用ください。「まずは話を聞いてみたい」という方も、どうぞお気軽にご連絡ください。

まとめ

今回は、ピロリ菌除菌を推奨する理由や、治療に関する様々な疑問について詳しく解説しました。

インターネットには色々な情報があり、除菌すべきか迷われている方も多いかもしれません。 確かに、除菌によるデメリットもゼロではありませんが、それらを考慮しても、将来の胃がんリスクを大幅に減らせるというメリットは、計り知れないほど大きいと私たちは確信しています。

治療は1週間お薬を飲むだけで、決して大がかりなものではありません。 大切なのは、まず胃カメラ検査でご自身の胃の状態を正確に知ることです。健診で陽性を指摘された方、ご家族に胃がんの経験がある方は、ご自身と大切な人の未来のために、ぜひ一度専門医にご相談ください。

この記事の監修者

大久保恒希 先生

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、国立国際医療研究センター病院および国府台病院、地域中核病院にて消化器内科・内視鏡診療の研鑽を積む。日本消化器内視鏡学会の専門医・指導医、日本消化器病学会専門医として、若手医師の教育や内視鏡室の立ち上げにも尽力。
「初めての内視鏡が辛ければ、二度と受けたくなくなる」という国立国際医療研究センター時代の教えを原点に、患者さんがリラックスして受けられる「苦痛の少ない検査」を追求。2025年12月、あけぼの橋内科・内視鏡内科を開院し、予防医学の普及に努めている。