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医療コラム

夜中にみぞおちが痛むのはなぜ?考えられる病気と受診の目安

夜中に突然みぞおちを襲う痛み。「いつもの胃痛だろう」と、市販薬でやり過ごしてはいませんか?その自己判断が、実は見逃してはならない重大な病気のサインかもしれません。みぞおち周辺には胃だけでなく、心臓や膵臓など命に直結する臓器が集まっており、その痛みは体からの危険信号なのです。

この記事では、「キリキリとした痛み」「焼けるような胸やけ」など、痛みの種類から考えられる病気を医師が詳しく解説します。胃潰瘍や逆流性食道炎はもちろん、心筋梗塞や急性膵炎といった緊急性の高い病気の見分け方まで、ご自身の症状と照らし合わせることで、適切な対処法と受診の目安が明確になります。

医師が解説する「痛みの特徴」から病気を推測する方法

夜中に突然みぞおちが痛むと、「何か大変な病気では?」と不安になるものです。その痛みの感じ方は、ご自身の体の中で何が起きているかを知るための重要なサインとなります。

痛みの特徴と、そこから考えられる病気の可能性を知ることで、冷静に対処し、適切なタイミングで受診する助けになります。

医師が解説する「痛みの特徴」から病気を推測する方法
医師が解説する「痛みの特徴」から病気を推測する方法
医師が解説する「痛みの特徴」から病気を推測する方法
医師が解説する「痛みの特徴」から病気を推測する方法

キリキリ、差し込むような痛み

急にみぞおちをえぐられるような、鋭く差し込むような痛みは、胃の粘膜が急激に傷ついたり、胃が強くけいれんしたりしているサインです。

このような痛みがある場合、次のような病気の可能性が考えられます。

  • 急性胃炎・胃けいれん 暴飲暴食や強いストレス、薬の副作用などが引き金となり、胃の粘膜が荒れることで急激な痛みが生じます。
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 胃酸によって胃や十二指腸の壁が深くえぐられてしまう病気です。特に空腹時や夜間など、胃酸の分泌が高まる時間帯に痛みが強くなる傾向があります。
  • アニサキス症 サバやイカなどの魚介類を生で食べた後、数時間から十数時間経ってから、耐えがたいほどの激しい腹痛や吐き気に襲われます。

これらの病気は痛みが非常に強く、我慢していると症状が悪化する恐れがあります。胃カメラ検査で胃の中の状態を直接確認することで、正確な診断が可能です。激しい痛みが続く場合は、決して放置せず、お早めに消化器内科を受診してください。

焼けるような、胸やけを伴う痛み

みぞおちから胸元にかけて、じりじりと焼けるような熱い感覚や、酸っぱいものが込み上げてくる不快感を伴う痛みです。

食後や、体を横にしたときに症状が悪化しやすいのが特徴で、最も考えられるのは「逆流性食道炎」です。

逆流性食道炎は、強力な酸である胃酸が食道へ逆流し、食道の粘膜を荒らしてしまうことで起こります。本来、胃の入り口は「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」という筋肉によって閉じられていますが、この筋肉が何らかの原因で緩むと、逆流が起こりやすくなります。

主な原因

  • 脂肪分の多い食事、食べ過ぎ
  • 食後すぐに横になる習慣
  • 加齢による筋肉のゆるみ
  • 肥満や猫背などによるお腹への圧力(腹圧)の上昇

胸やけはありふれた症状と思われがちですが、長く続くと生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。生活習慣の見直しと適切なお薬で症状はコントロールできますので、お気軽にご相談ください。

鈍く重苦しい痛み

「ここが痛い」とはっきりと指させないものの、みぞおちのあたりが常に重たい、張っている、すっきりしないといった鈍い痛みが続く状態です。

食欲がなかったり、少し食べただけですぐにお腹がいっぱいになったりする感覚(早期飽満感)を伴うことも少なくありません。このような症状では、以下の病気が疑われます。

  • 慢性胃炎 主にピロリ菌への感染が原因で、胃の粘膜に慢性的な炎症が続いている状態です。
  • 機能性ディスペプシア 胃カメラなどで調べても潰瘍や炎症といった明らかな異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれや痛みが続く病気です。ストレスや生活習慣の乱れが自律神経のバランスを崩し、胃の働きを低下させることが原因と考えられています。
  • 胃がん 初期の胃がんは自覚症状がほとんどないことが多いですが、このような鈍い痛みが病気のサインである可能性もゼロではありません。

「いつもの胃もたれだから」とご自身で判断せず、症状が長く続く場合は、原因を特定するためにも一度、消化器内科で胃カメラ検査を受けることを強くお勧めします。

みぞおちの痛みは胃だけが原因とは限らない

夜中にみぞおちが痛むと、「胃の調子が悪いのかな?」と考えるのは自然なことです。しかし、みぞおちの周辺には胃だけでなく、心臓、膵臓(すいぞう)、胆のうといった命に関わる重要な臓器が隣接しています。

これらの臓器に起きたトラブルが、神経を介して「胃の痛み」とよく似た症状として感じられることがあるのです。中には一刻を争う病気が隠れている可能性もあるため、「いつもの胃痛だろう」と自己判断してしまうのは大変危険です。

心筋梗塞や狭心症など心臓の病気

みぞおちの痛みで、最も警戒すべき病気が心筋梗塞や狭心症です。心臓は胸にありますが、心臓の血管トラブルによる痛みが、関連のない場所に痛みとして現れる「放散痛(ほうさんつう)」という現象によって、みぞおちの痛みとして自覚されることがあります。

胃痛であれば食事と関連して痛むことが多いですが、心臓の病気による痛みは、食事とは無関係に、特に体を動かした時(労作時)に現れやすいのが特徴です。

【こんな症状は胃痛ではなく心臓のサインかも】

  • 胸が締め付けられる、押しつぶされるような圧迫感を伴う
  • 痛みがみぞおちだけでなく、左肩・腕、あご、奥歯、背中に広がる
  • 冷や汗、息切れ、吐き気を伴う

これらの症状が一つでも当てはまる場合は、命の危険が迫っているサインかもしれません。様子を見ずに、ただちに救急車を呼ぶことを強く推奨します。

急性膵炎など膵臓の病気

膵臓は、胃の真裏に位置し、強力な消化酵素を含む「膵液」をつくる臓器です。急性膵炎は、この膵液が何らかの理由で膵臓自体を消化してしまう(自己消化)ことで、強烈な炎症と激痛を引き起こす病気です。

主な原因はアルコールの過剰摂取や、胆のうから流れてきた胆石が膵液の出口を塞いでしまうことです。

【急性膵炎を疑う特徴的な症状】

  • みぞおちから背中にかけて、突き抜けるような耐えがたい痛み
  • じっとしていられず、エビのように体を丸めると少し楽に感じる
  • 吐き気や嘔吐、38度以上の高熱を伴う

急性膵炎の痛みは、市販の胃薬ではまったく効きません。脂っこい食事や多量の飲酒から数時間後に発症することが多く、急激に重症化して命に関わることもあるため、夜間や休日であっても救急外来の受診が必要です。

胆石症や胆のう炎

胆のうは、肝臓の下にあり、脂肪の消化を助ける「胆汁」を一時的に溜めておく袋状の臓器です。この胆のうの中で石(胆石)ができるのが胆石症です。

特に天ぷらや焼肉など脂質の多い食事を摂ると、胆汁を排出しようと胆のうが強く収縮します。その際に胆石が胆のうの出口に詰まると、「胆石発作」と呼ばれる激しい痛みが起こります。

【胆石発作・胆のう炎を疑う症状】

  • 脂っこい食事の2〜3時間後に、みぞおちから右脇腹にかけて起こる差し込むような激痛
  • 痛みが右肩や右の背中に響くように感じる(放散痛)
  • 発熱や黄疸(おうだん:皮膚や白目が黄色くなる)を伴う

石が詰まることで細菌感染を起こすと「急性胆のう炎」となり、持続的な痛みと高熱が出ます。これらの症状がある場合は、速やかに消化器内科を受診してください。

診察で的確に伝えるべき5つのポイント【受診前チェックリスト】

いざ診察室に入ると、緊張してしまって「言いたいことの半分も伝えられなかった…」という経験はありませんか。

しかし、あなたの言葉一つひとつが、正確な診断を下すための最も重要な手がかりとなります。

受診前にこれからお伝えする5つの点を少し整理しておくだけで、医師は病気の原因をぐっと絞り込みやすくなります。スマホのメモ機能などを活用して、ご自身の状態を記録しておくことをお勧めします。

診察で的確に伝えるべき5つのポイント【受診前チェックリスト】
診察で的確に伝えるべき5つのポイント【受診前チェックリスト】
診察で的確に伝えるべき5つのポイント【受診前チェックリスト】
診察で的確に伝えるべき5つのポイント【受診前チェックリスト】

いつから、どんなきっかけで痛むか

痛みが「いつから」始まったかは、病気の勢いを判断する上で欠かせない情報です。

突然始まった激しい痛みであれば急性胃炎やアニサキス症などを、一方で、数週間前からじわじわ続く痛みであれば慢性的な胃の不調を探るなど、医師は原因を推測していきます。

また、「何をした後」に痛むかは、原因を特定する上で強力なヒントになります。

【伝えるポイント】

  • 時期: いつから痛みますか?(例:昨夜10時頃から、3週間前から週に2〜3回)
  • きっかけ: 痛みの引き金に心当たりはありますか?(例:天ぷらを食べた後、仕事で大きなプレッシャーがあった日、お酒を飲みすぎた翌朝など)
  • 持続時間: 一度の痛みはどのくらい続きますか?(例:5分ほどでスッと消える、1時間以上ずっと痛い)
  • 頻度: これまでに同じような痛みを経験したことはありますか?

痛みの場所と種類(キリキリ、ズキズキなど)

「みぞおち」とひとくくりにせず、痛む場所を指で示しながら伝えていただくことが重要です。

例えば、みぞおちの「少し右側」なら胆のう、「背中まで突き抜ける」なら膵臓の病気も疑うきっかけになります。

痛みの「感じ方」をあなた自身の言葉で表現してみてください。上手く言えなくても全く問題ありません。

【痛みの表現例】

  • 種類: キリキリ、シクシク、ズキズキ、焼けるような、重苦しい、締め付けられる感じ など
  • 場所: みぞおちの真ん中、やや右寄り、背中に抜ける感じ など
  • 強さ: 「10段階で言うと8くらい」「冷や汗が出るほど痛い」「我慢はできるが常に気になる」など

食事との関係(食前、食後、空腹時)

痛みが現れる「タイミング」は、原因となっている臓器を特定する上で非常に有力な情報です。

  • 食後に痛む: 食べ物が入って胃が働き始めると痛むのは、胃の粘膜が荒れているサインかもしれません(胃炎、胃潰瘍など)。
  • 空腹時・夜中に痛む: 胃が空っぽの時に痛むのは、胃酸が直接、胃や十二指腸の傷を刺激している可能性があります。特に十二指腸潰瘍でよく見られる特徴です。
  • 脂っこい食事の後に痛む: 天ぷらや焼肉などを食べた数時間後に激痛が走る場合、脂肪の消化に関わる「胆のう」に石が詰まっている(胆石症)可能性を疑います。
  • 食事と関係なく痛む: 胃腸の問題だけでなく、心臓や膵臓など、他の臓器が原因である可能性も視野に入れる必要があります。

他に気になる症状(吐き気、背中の痛みなど)

みぞおちの痛み以外に現れる症状は、パズルのピースのように、診断を確定させるための重要なヒントとなります。「胃とは関係ないだろう」と思えることでも、遠慮なくお話しください。

【特に注意して伝えたい症状】

  • 吐き気、嘔吐、胸やけ: 胃や食道の不調を示す典型的な症状です。
  • 黒い便(タール便): 胃や十二指腸で出血が起きているサインかもしれません。便の色は必ず確認しましょう。
  • 背中や右肩の痛み: 膵臓や胆のうからのSOSサインである可能性があります。
  • 胸の圧迫感、締め付けられる感じ: 胃痛ではなく、心臓の病気(心筋梗塞など)の可能性も考えられます。
  • 発熱: 体の中で強い炎症(胆のう炎、膵炎など)が起きていることを示唆します。
  • 体重の減少: 食欲がないわけではないのに体重が減る場合は、注意深い検査が必要です。

服用中の薬や既往歴

安全な治療方針を決めるために、あなたが現在使っているお薬や、これまでの病歴について教えてください。

お薬手帳をお持ちの方は、診察時に必ずご提示をお願いします。

  • 服用中のお薬: 病院の処方薬はもちろん、市販薬、サプリメント、漢方薬まで全てが対象です。薬の副作用で胃痛が起きることもありますし、これから処方する薬との飲み合わせを確認するためにも不可欠な情報です。 特に、頭痛や腰痛などで痛み止め(NSAIDs)をよく服用する方は、胃の粘膜を守る物質を減らしてしまう作用があるため、必ずお伝えください。

  • これまでの病歴(既往歴): 過去にかかった大きな病気や手術歴、アレルギーの有無などを教えてください。

  • ご家族の病歴(家族歴): ご家族に胃がんや大腸がんになった方がいるかどうかも、将来のリスクを考える上で参考になります。

その市販薬、本当に安全?胃薬の正しい選び方と注意点

夜中に突然みぞおちが痛むと、つい手近な市販薬でなんとかしようと考えてしまうかもしれません。

しかし、その「とりあえず」の選択が、かえって症状をこじらせたり、胃潰瘍やがんといった重大な病気の発見を遅らせたりする危険性をはらんでいます。

胃薬とひとくちに言っても、作用の仕組みはさまざまです。ご自身の症状に合わない薬を選んでしまうと、効果がないばかりか、思わぬ副作用を招くこともあります。

ここでは、市販薬を選ぶ前に知っておきたい基本的な知識と、特に注意すべき点について解説します。

胃酸を抑える薬(H2ブロッカー、PPI)

胃酸の分泌を強力に抑え込むタイプの薬です。出すぎた胃酸が食道へ逆流することで起こる胸やけや、酸っぱいものがこみ上げてくるような不快感(呑酸:どんさん)に効果を発揮します。

市販薬では「H2ブロッカー」という成分が主流です。胃酸をつくるように指令を出すスイッチ(H2受容体)をブロックすることで、胃酸の過剰な分泌にブレーキをかけます。

効果がシャープな反面、痛みの原因が一時的に隠されてしまうことで、背景にある病気を見過ごすリスクも持ち合わせています。

<こんな症状の方に>

  • 胸が焼けるようにヒリヒリする
  • のどの奥から酸っぱいものが上がってくる
  • 食べ過ぎていないのに、胃が張って重たい

市販薬を2〜3日使っても症状が良くならない、あるいは飲むのをやめるとぶり返すような場合は、自己判断で飲み続けず、必ず消化器内科を受診してください。

胃の粘膜を保護する薬

胃酸の分泌そのものを止めるのではなく、胃酸の攻撃から胃自体を守る「防御力」を高める薬です。

荒れてしまった胃の粘膜表面を直接コーティングしたり、傷ついた部分の修復を早めたり、胃を守る粘液の分泌を増やしたりといった働きがあります。

胃が空っぽになる時間帯は、胃酸が直接、胃の傷を刺激して痛みが出やすくなります。このタイプの薬は、そうした空腹時のキリキリとした痛みや、胃が荒れている感覚がある場合に適しています。

<こんな症状の方に>

  • 空腹時や夜中にみぞおちがシクシク、キリキリと痛む
  • ストレスや不規則な生活で胃の不快感が続いている
  • 胃の粘膜が弱っている、荒れている感じがする

多くの総合胃腸薬には、この粘膜保護成分と、出すぎた胃酸を中和する成分(制酸薬)がバランス良く配合されています。

痛み止め(NSAIDs)の服用は避けるべき理由

みぞおちが痛いからといって、頭痛や生理痛のときに使う痛み止めを飲むのは、絶対にやめてください。特に「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」と呼ばれる種類の薬は大変危険です。

ご自宅の薬箱にある痛み止めの成分表示を見て、以下の名前がないか確認してみてください。

  • ロキソプロフェン
  • イブプロフェン
  • アスピリン
  • ジクロフェナクナトリウム など

これらのNSAIDsは、痛みを引き起こす原因物質(プロスタグランジン)の生成を抑えることで、優れた鎮痛効果を発揮します。

しかし、このプロスタグランジンには、痛みを起こす作用だけでなく、「胃の粘膜を守るバリアを維持する」という非常に大切な役割も担っているのです。

つまり、NSAIDsを飲むと、痛みを抑えるのと引き換えに、胃を守るバリアまで同時に壊してしまうことになります。胃痛に対して自己判断でNSAIDsを服用するのは、まさに火に油を注ぐような行為であり、胃の粘膜をさらに傷つけ、胃炎や胃潰瘍を引き起こす原因になりかねません。

当院が提供する苦痛の少ない胃カメラ検査の特徴

みぞおちの痛みの原因を正確に突き止めるには、胃カメラ検査が有用な方法です。しかし、「検査は苦しいもの」という先入観から、必要な検査を先延ばしにしてしまう方は少なくありません。

当院では「検査はつらくて当たり前」という考えは過去のものだと考えています。

お一人おひとりの不安に徹底的に寄り添い、安心して検査に臨んでいただけるよう、様々な工夫を凝らした胃カメラ検査をご提供します。

当院が提供する苦痛の少ない胃カメラ検査の特徴
当院が提供する苦痛の少ない胃カメラ検査の特徴
当院が提供する苦痛の少ない胃カメラ検査の特徴
当院が提供する苦痛の少ない胃カメラ検査の特徴

鎮静剤(静脈内麻酔)を使用した苦痛の少ない検査

「『オエッ』となる、あの苦しさがトラウマになっている」 「以前の検査がつらすぎて、二度と受けたくない」

このような経験をお持ちの方のために、当院では鎮静剤(静脈内麻酔)を使った胃カメラ検査を積極的に行っています。点滴からお薬が入ると、数分でウトウトと眠っているような非常にリラックスした状態になります。

気づいたときには検査が終わっている、という感覚に驚かれる方も少なくありません。

  • 苦痛をほとんど感じない のどの反射(咽頭反射)がしっかりと抑えられるため、検査中の吐き気や痛み、息苦しさを感じることはありません。
  • より精密な検査が可能に 患者さんの体の力が抜けているため、医師は食道や胃のヒダの隅々まで、焦らずじっくりと観察できます。これにより、ごく初期の小さな病変も見逃すリスクが減り、診断の精度向上につながります。
  • 「つらかった記憶」が残らない 検査中のことはほとんど覚えていないため、精神的なご負担も大きく軽減されます。これが「また来年も受けよう」という前向きな気持ちにつながり、あなたご自身の健康を守り続けます。

検査後は専用のリカバリースペースで、麻酔が自然に覚めるまでゆっくりお休みいただけます。安心して検査に臨んでいただけるよう、スタッフ一同、万全の体制でサポートいたします。

鼻から挿入する経鼻内視鏡の選択も可能

「鎮静剤を使うのには少し抵抗がある」 「検査が終わったら、すぐに仕事や予定に戻りたい」

このようなご希望をお持ちの方には、鼻から極細のカメラ(スコープ)を挿入する「経鼻内視鏡検査」という選択肢もご用意しています。

口から入れるカメラと比べて直径が非常に細く(約5〜6mm)、カメラが嘔吐反射を引き起こす「舌の付け根」に触れずに通過するため、吐き気が起こりにくいのが大きな特徴です。

  • 「オエッ」という苦しさが少ない 嘔吐反射が強い方でも、比較的スムーズに検査を受けていただけます。
  • 検査中に会話ができる 口がふさがれないため、モニターを見ながら質問したり、気分が悪くなった際にすぐに医師やスタッフに伝えたりできる安心感があります。
  • 検査後の回復が早い 鎮静剤を使用しない場合、検査後すぐに日常生活に戻ることが可能です。

鼻腔が狭い方など、体質によっては経鼻での挿入が難しい場合もございますが、患者さんのご希望や体の状態に合わせて最適な方法を一緒に考えていきます。

経験豊富な専門医による短時間での精密検査

当院では、大学病院などで数多くの難症例を経験してきた「内視鏡専門医・指導医」が、すべての検査を担当します。指導医とは、他の医師に内視鏡技術を指導する立場にある医師のことです。

熟練した医師による無駄のないスムーズな操作は、検査時間をできるだけ短くし、患者さんの体へのご負担を最小限に抑えます。

さらに、当院では内視鏡診断支援AIを導入しています。これは、いわば「もう一人の専門医の目」です。医師の豊富な経験とAIの客観的な解析能力を掛け合わせることで、人間だけでは見落とす可能性のある微小な病変の発見率向上を目指しています。

当院は、曙橋駅から徒歩1分という利便性の高い立地にありながら、都心の喧騒から離れた静かで落ち着いた環境で検査を受けていただけます。新宿区の市ヶ谷・四谷エリアにお住まい、お勤めの方も、どうぞお気軽にご相談ください。

胃痛の根本原因「ピロリ菌」の検査と除菌治療

あなたを長年悩ませている、繰り返すみぞおちの痛みや胃の不快感。その「犯人」は、胃の中にひそむ「ピロリ菌」という小さな細菌かもしれません。

実は、ピロリ菌は胃がんを引き起こす最大の原因であることが科学的に証明されています。

知らないまま放置してしまうと、静かに胃の粘膜を蝕み、将来の大きな病気につながる危険性があります。しかし、ご安心ください。ピロリ菌は検査で簡単に見つけることができ、お薬で治療(除菌)することが可能です。

ご自身の胃の健康と未来を守るために、まずはピロリ菌について正しく知ることから始めましょう。

ピロリ菌が胃に与える影響

ピロリ菌は、強力な胃酸が満ちる過酷な胃の中でも生き抜くことができる特殊な細菌です。

その秘密は、自身で「アンモニア」というアルカリ性の物質を作り出し、胃酸を中和するバリアを張る能力にあります。

しかし、このアンモニアが胃の粘膜にとっては有害で、持続的に粘膜を傷つけ、慢性的な炎症(慢性胃炎)を引き起こしてしまいます。

この炎症が何十年も続くと、胃の粘膜はだんだんと薄くやせ細ってしまいます。これを「萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)」と呼び、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となるだけでなく、胃がんが発生しやすい「畑」のような状態になってしまうのです。

恐ろしいのは、多くの場合、自覚症状がないまま静かに胃炎が進行することです。胃の不調を感じていなくても、一度はピロリ菌の有無を確認しておくことが、あなたの胃を守るための重要な一歩となります。

ピロリ菌の検査方法

ピロリ菌に感染しているかどうかは、いくつかの検査で調べることができます。当院では、患者さんの状態やご希望に合わせて最適な検査方法をご提案します。

胃カメラ(内視鏡)を用いる検査

胃カメラで胃の粘膜の状態を直接観察しながら、その場で組織を採取して診断する方法です。胃炎や潰瘍、がんの有無まで同時に確認できるため、診断に有用な多くの情報が得られます。

  • 迅速ウレアーゼ試験 採取した組織を特殊な試薬に入れ、色の変化でピロリ菌の有無をその場で判定します。
  • 組織鏡検法 採取した組織を顕微鏡で詳しく観察し、菌の姿を直接確認します。

胃カメラ(内視鏡)を用いない検査

お身体への負担が少なく、主に除菌治療が成功したかどうかの効果判定や、検診などで広く行われます。

  • 尿素呼気試験 検査薬を飲んだ後、専用の袋に息を吹き込むだけの簡単な検査です。精度が非常に高く、診断から除菌判定まで幅広く用いられます。
  • 抗体測定(血液・尿検査) 血液や尿の中に、ピロリ菌に対する免疫反応で作られた「抗体」があるかを調べます。
  • 便中抗原検査 便の中にピロリ菌の成分(抗原)が排出されているかを調べます。

どの検査が最適かは、胃の状態によって異なります。まずは一度、消化器内科でご相談ください。

除菌治療の流れとメリット

ピロリ菌の除菌は、お薬を1週間飲み続けるだけの内服治療です。将来の病気のリスクを大幅に減らせる、非常に価値のある治療と言えます。

除菌治療の流れ

  1. 【STEP1】お薬の服用 胃酸の分泌を抑えるお薬と、2種類の抗生物質、合計3種類のお薬をセットで1日2回、7日間服用します。胃酸を抑えることで、抗生物質が効きやすい環境を整えるのがポイントです。

  2. 【STEP2】効果の判定 お薬を飲み終えてから4週間以上あけた後、主に「尿素呼気試験」でピロリ菌がいなくなったかを正確に確認します。

この1回目の治療(一次除菌)による成功率は約90%と非常に良好です。

万が一、除菌が成功しなかった場合でも、抗生物質の種類を変えて2回目の治療(二次除菌)を行うことが可能です。二次除菌まで含めると、ほとんどの方で除菌が成功します。

除菌治療の主なメリット

  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発リスクを大きく減らせる つらい痛みの根本原因を取り除くことで、再発を繰り返しにくい状態を目指せます。

  • 胃がんの発生リスクを大幅に下げられる ピロリ菌の除菌は、胃がんからご自身の身を守るための、効果的な予防法の一つです。治療が早ければ早いほど、その予防効果は高まります。

  • 長年の胃の不快症状が改善する可能性がある 原因不明の胃もたれや胃痛、胸やけといった症状が、除菌によってすっきりと改善されるケースも少なくありません。

ピロリ菌の検査や治療は、健康保険が適用されます。気になる症状がある方、ご家族に胃がんになった方がいる方は、ためらわずにぜひ一度ご相談ください。

まとめ

夜中に突然襲われるみぞおちの痛みは、ご自身の体からの大切なサインです。

その原因は胃炎や胃潰瘍だけでなく、時には心臓や膵臓といった、命に直結する病気が隠れている可能性も少なくありません。「いつもの胃痛だろう」と自己判断で市販薬に頼ってしまうと、重大な病気の発見が遅れてしまう危険性があります。

痛みの種類や伴う症状に注意し、少しでも不安を感じたら、決して我慢しないでください。まずは消化器内科などの専門医に相談することが、安心につながります。原因を正しく突き止め、適切な治療へと繋げていきましょう。

この記事の監修者

大久保恒希 先生

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、国立国際医療研究センター病院および国府台病院、地域中核病院にて消化器内科・内視鏡診療の研鑽を積む。日本消化器内視鏡学会の専門医・指導医、日本消化器病学会専門医として、若手医師の教育や内視鏡室の立ち上げにも尽力。
「初めての内視鏡が辛ければ、二度と受けたくなくなる」という国立国際医療研究センター時代の教えを原点に、患者さんがリラックスして受けられる「苦痛の少ない検査」を追求。2025年12月、あけぼの橋内科・内視鏡内科を開院し、予防医学の普及に努めている。