TOPへ

虚血性腸炎

虚血性腸炎とは

腹痛虚血性腸炎は、大腸の粘膜に血液が十分に行き渡らなくなることで炎症や潰瘍が生じる疾患です。酸素や栄養を供給する血流が一時的に途絶えることで、粘膜がただれて傷つくことがあります。主な症状は、突然の腹痛や下痢、血便が挙げられ、特に左下腹部に痛みを訴えるケースが多く見られます。発症は中高年層、特に50歳以上で便秘傾向のある方に多く見られます。

虚血性腸炎の症状

左側の下腹部に強い痛みが現れ、下痢や血便を伴うのが特徴です。病変はS状結腸や下行結腸に発生しやすいため、痛みの部位もその周辺に集中します。症状が重い場合には、吐き気や嘔吐、冷や汗、めまいを伴うこともあります。

虚血性腸炎の原因

原因として多いのは、動脈硬化や慢性的な便秘による血流障害です。虚血性腸炎は再発することは稀で、再発率は1割程度とされていますが、再発を防ぐには排便習慣の改善が重要です。便秘を予防することで、発症リスクを下げることが可能です。

虚血性腸炎の検査

大腸カメライメージ診断には詳細な問診と大腸カメラ検査が欠かせません。特に、薬剤性や感染性の腸炎との鑑別が難しい場合があるため、問診では抗生物質の使用歴や直前の食事内容などを丁寧に確認します。大腸カメラ検査では、粘膜のむくみやただれ、縦走する潰瘍など、虚血性腸炎に特有の所見を観察し、病変の部位や広がりを正確に把握します。

大腸カメラ検査はこちら

虚血性腸炎の治療

大量出血を伴う場合も多くは一時的なものであり、絶食により腸を安静に保つことで1〜2週間ほどで自然治癒します。絶食中は脱水を防ぐために十分な水分補給を行い、必要に応じて点滴を行います。症状が落ち着いてきたら、まずは消化に負担の少ない食事から開始し、徐々に通常の食生活に戻していきます。

虚血性腸炎の予防

虚血性腸炎の予防および再発を防ぐためには、便秘の改善が欠かせません。特に、日々の生活習慣の見直しが重要であり、当院の消化器内科では便秘に対する専門的な治療を行っております。便秘にお悩みの方は、お早めにご相談ください。

食生活の見直しによる予防

便通を整えるためには、バランスの取れた食事と適度な運動を習慣化することが基本です。なかでも、食物繊維の摂取は腸内環境の改善に効果的で、水溶性と不溶性の2種類を意識して取り入れることが大切です。水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やし、不溶性は腸の動きを活発にします。便秘のタイプに応じて、両者の比率を調整することで、より効果的な便秘対策が期待できます。また、水分補給も忘れずに行いましょう。

治療中の食事管理

治療の初期には腸を休ませるために数日間の絶食が必要となることがありますが、水分補給は欠かせません。経口補水液や電解質を含むスポーツドリンクなどで脱水を防ぎましょう。整腸剤を服用しつつ症状の回復を待ち、徐々に消化しやすい食品を少量ずつ摂取していきます。回復期には脂肪分や食物繊維の多い食品は避け、腸への負担を最小限に抑えながら、段階的に通常の食事へと移行していくことが大切です。