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大腸ポリープ切除

ポリープ大腸ポリープは、将来的に大腸がんへと進行する可能性がある「前がん病変」とされており、早期に切除することが大腸がんの予防に繋がります。当院では、大腸カメラ検査中にポリープが見つかった場合、その場で切除する日帰り手術に対応しています。切除にかかる時間は、ポリープ1個あたり数分程度です。なお、ポリープ切除後は出血などの合併症を防ぐため、数日から1週間程度は入浴や食事、運動、長距離移動、飲酒といった日常生活に一定の制限が必要となります。制限の内容は患者様ごとに異なるため、医師の指示を十分に守ってお過ごしください。

大腸ポリープとは

大腸ポリープは、大腸の粘膜に発生する盛り上がったできもので、「腫瘍性」と「非腫瘍性」に分類されます。その中でも最も多く見られるのが、良性の腫瘍である「腺腫」と呼ばれるポリープです。腺腫は特に直腸に発生しやすいものの、大腸の他の部位にもできることがあります。一見良性であっても、時間の経過とともにがんへ進行する可能性があるため、「前がん病変」と位置づけられています。腺腫性ポリープを早期に取り除くことで、大腸がんの発症リスクを減らすことが可能です。

大腸ポリープの症状

大腸ポリープは、初期段階ではほとんど自覚症状が現れません。ただし、直腸付近など硬い便が通過しやすい部位にできると、便に擦れて出血し、血便として気づかれることがあります。便潜血検査で陽性反応が出た場合、その背景には大腸ポリープや大腸がんが隠れている可能性があります。しかし、便が柔らかい箇所にポリープが存在する場合や、隆起の目立たない平坦型ポリープでは出血が起こらないことも多く、検査結果が陰性となるケースもあります。このような見落としを防ぐためにも、大腸ポリープががんへ進行する前に発見・切除することが重要です。特に40歳を過ぎるとリスクが高まるため、症状がなくても定期的に大腸カメラ検査を受けることを推奨しています。

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当院では大腸ポリープの日帰り手術に対応しています

当院では、大腸カメラ検査中にポリープが見つかった際、あらかじめ患者様の同意を頂いたうえで、その場で日帰り手術として切除しています。切除にかかる時間は数分程度で、痛みもほとんど感じません。検査と同時に切除を実施することで、改めて手術の予定を立てる必要がなく、食事制限や下剤の服用も一度で済むというメリットがあります。
切除したポリープは病理検査に回し、確定診断を行います。ただし、ポリープのサイズや形状、個数によっては、日帰りでは対応が難しく、入院による手術が必要となる場合があります。特に、抗血栓薬(血液をサラサラにするお薬)を服用されている方は、合併症のリスクを避けるため、入院対応となるケースが多いです。そのような際には、当院と連携している高度医療機関をご紹介します。

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大腸ポリープの切除方法

大腸ポリープの形や大きさに応じて、適切な切除方法は異なります。当院では、安全性を重視した手法を選択し、術後の出血リスクを最小限に抑えることで、患者様の負担を軽減するよう努めています。
使用するスネア(ポリープを切除するワイヤー状の器具)は、全て衛生面に配慮した使い捨てのディスポーザブル製品を採用しており、感染対策も万全です。

コールドポリペクトミー

比較的小さなポリープの切除に適した方法で、スネアでポリープを物理的に締め付けて切除します。電気を流さないため、組織への熱によるダメージがなく、術後の出血も少ないとされています。切除直後にわずかな出血を伴うことがありますが、多くは自然に止まります。出血が見られる場合でも、止血クリップによる処置が可能です。
ただし、大きなポリープや悪性の疑いがある場合には、切除しきれず再発の恐れがあります。当院では、経験豊富な専門医が慎重に判断し、安全に施行できるケースで採用しています。

ホットポリペクトミー

茎があり、比較的大きなポリープに対して有効な切除法です。スネアでポリープを締め付けた後、高周波電流を流して焼き切る方法で、電気メスと同様に出血を抑える効果があります。
一方で、高周波の熱が筋層など深部組織に及ぶことで、術後数日経ってから出血や穿孔、腹痛、発熱といった合併症を引き起こす可能性もあります。当院では、ホットポリペクトミーが必要と判断された場合でも、通電量・通電時間を抑えるとともに、止血クリップによる追加処置を行うなど、安全対策を徹底したうえで実施しています。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

平坦な形状でそのままではスネアをかけにくいポリープには、EMR(Endoscopic Mucosal Resection)という手法を用います。ポリープの下に生理食塩水を注入して粘膜を持ち上げたうえでスネアをかけ、高周波で焼き切る方法です。
この方法は、切除時の出血が少なく、さらに注入した生理食塩水によって熱が深部組織に伝わりにくいため、安全性の高い処置とされています。通電量・時間を最小限に抑えたうえで、止血クリップを併用し、合併症のリスクを抑えています。

ポリープ切除後の注意点

大腸ポリープの切除後は、数日経ってから出血や腸に穴があく(穿孔)といった合併症が起こる可能性があります。こうしたリスクを避けるために、一定期間、生活上の制限が必要です。
また、大腸カメラ検査ではポリープ切除を同時に行う可能性があるため、検査後1週間は体に負担がかかる予定を避けてスケジュールを組んでおくことが重要です。旅行や会食、出張などが検査直後に重ならないよう、事前の調整をお願いします。

ご自宅での過ごし方

切除後は無理をせず、安静にお過ごしください。

入浴

検査当日はシャワー程度に留め、浴槽への入浴は翌日から可能です。ただし、1週間程度は長時間の入浴やサウナなど、体に負担をかける行為は控えてください。

食事

当日は胃腸に優しい消化の良い食事を心がけ、辛いものや脂っこい料理、高タンパクの食材など、刺激の強いものは避けましょう。

飲酒

アルコールは術後5日間ほど控えてください。飲酒は出血のリスクを高めます。

運動

術後5日間は、腹圧がかかるような運動や動作(重いものを持つ、激しい運動、前屈みなど)は避け、医師の許可が出るまでは安静を保ちましょう。

出張・旅行

切除後5日間は、長距離の移動や運転を控えてください。特に飛行機での移動は、気圧の影響を受けやすいため原則禁止です。